魔都紅色幽撃隊』レビュー. 『東京魔人學

學園ジュヴナイル伝奇"の生みの親・今井秋芳監督の最新作となるPS3/PS Vita用ソフト『魔都紅色幽撃隊』が、アークシステムワークスから4月10日に発売! 今井監督の作品をこよなく愛するライターが、プレイして感じた本作の魅力をたっぷりとレポートします. 『魔都紅色幽撃隊』は、"學園ジュヴナイル伝奇"の最新作で、『東京魔人學園伝奇』『九龍妖魔學園紀』と世界観を共有するアドベンチャー+RPGになっています. プレイヤーは仲間の助けを借りながら、"霊"が巻き起こす数々の事件を解決していくことに. ゴーストたちとのバトルシステムも、非常に凝った作りになっています. 新宿で新たな転校生の伝説が始まる! 筆者は、黄龍の器になってラーメン(そばでも可)を食べたり、トレジャーハンターとして親友の部屋からレトルトカレーを盗んでカレーライスを作ったりしていた今井監督作品のファンです. 『魔都紅色幽撃隊』は監督によるひさびさの"學園ジュヴナイル伝奇"最新作ということで、わくわくしながらプレイを開始! 物語は、新宿の街に1人の転校生がやってくるところから始まります. 名前の他にあだ名を決めるのは、"學園ジュヴナイル伝奇"のお約束ですね. このあだ名は、仲間と仲よくなると呼んでくれるようになるんです. 最初はそっけなかった子が初めてあだ名を呼んでくれた時の喜びは、リアルでもゲームでも変わりません. ぜひぜひステキなあだ名を考えて、大好きなキャラクターに呼んでもらいましょう. 名前を考えるのが苦手な人は、デフォルト名を使用するのも手かも. 今井監督の作品の主人公は、名前に"龍"の字が入っているのが定番. 本作は"龍介"です. クラスで初めて自己紹介をする場面では、出身や血液型などを聞かれて同級生たちから質問攻めに! これも、転校生の宿命というやつですね. ここでは得意科目や身長体重、視力まで、主人公の情報を細かく入力していきます. きっと今井監督のことだから、戦闘や対人関係の何かに関係するんだろうなと妄想しながら主人公の設定を入力. うちの主人公は、東京出身で体育が得意な陸上部にしました. 得意科目や部活は、豊富な種類が用意されています. 自分に一番合うものを選ぶもよし、理想の主人公像を投影するのもよしです. クラスメートの質問攻めから解放されると、登場キャラクターの1人・支我正宗が声をかけてくれました. メガネの秀才ということでマジメな性格をイメージしていたんですが、話してみると気さくな感じ. ある事情で主人公にツンツンしているクラス委員の深舟さゆりに、校内を案内するよう頼んでくれるなど、気配りができる好青年です. 支我はいい子なのですが、転校して早々の主人公に「幽霊の存在を信じるか」ととんでもない質問をぶつけてきたのには驚きました. 本人は冗談だと言っていますが、何かわけがあるのかも? 支我の取り成しによって、深舟に校内を案内してもらえることに. 文句を言いながらも、ちゃんと校内を詳しく案内してくれるあたりがマジメで優しいです. そんな彼女に頼まれて、普段は立ち寄らない校舎の4階を訪れることになりました. ここで2人は大変な目にあうことになるのですが、それについてはぜひ自分の目や耳で体験してください. 深舟は、どうやら校舎の4階にこだわっている様子. 誰にも見られないようにして、2人で4階に行こうとしている理由とは? 本作は"霊"をテーマしていることもあり、中には「ホラーは苦手! 」なんて不安に思っている人もいるかもしれません. 何話か物語をプレイしましたが、オカルト要素はあるものの「もう怖くて眠れない! 」なんてことはまったくなかったのでご安心ください. ホラー作品というよりも、各話に登場する霊たちがなぜ事件を起こすのか、推理する要素が強く、サスペンスに近いですね. 霊たちの行動理由はどれも納得のいくものばかりなので、「こういうこともあるかもしれないな」と何度も考えさせられました. 幽霊ものらしく一部ぞっとする場面もあり、ストーリーのいいアクセントになっています. 進化した感情入力システムは、意志表示に推理に大活躍! 今井監督作品でおなじみなのが、感情入力システム. 入力方法は方向キーで入れたい感情を選び、キーを押したまま○ボタンを押すだけでOKです. スタートボタンを押したり、一定時間入力しなかったりすると"無視"扱いになるので注意. 無視が効果的な場面もあるかもしれませんが、仲間や気になる相手には"友"や"愛"などの肯定的な感情を入力した方が無難です. そして、本作では"感情"だけでなく"感覚"も入力できるようになりました. 感覚は、"触"、"視"、"嗅"、"味"、"聴"の5つです. 感情との組み合わせで相手の反応が結構変わるので、いろいろと試してみるのもおもしろいですよ. 【感情と五感の組み合わせの例】 深舟のこの言葉に対して、主人公はどんな反応を示すのか? 【愛+味】【愛+嗅】【愛+聴】 【愛+視】【愛+触】【友+味】 【友+嗅】【友+聴】【友+視】 【友+触】【怒+味】【怒+嗅】 【怒+聴】【怒+視】【怒+触】 【悲+味】【悲+嗅】【悲+聴】 【悲+視】【悲+触】【悩+味】 【悩+嗅】【悩+聴】【悩+視】 【悩+触】【無視】 おもしろいとはいっても、五感の中には使い道が難しいものもありますよね. "触"は相手へのタッチ、"視"は見つめる、"聴"なら耳を傾けるなどなんとなく想像できます. ただ「"嗅"と"味"って、一体どこで使うの? 」と、ゲーム内でさえ初対面から"愛"を連打できない小心者の私は考えてしまったわけですよ. その使い道の1つが、プレイしていてわかりました. 今回は仲間へ気持ちを伝える他に、幽霊関係の事件捜査でも感情入力システムを使うんです. 室内に漂う不思議な匂いを嗅いで発生源を探したり、落ちている粉を味わう(なめる)ことでその正体を確かめたりと、ここでは、五感をうまく使わないとわからない情報がたくさんあります. また正しい五感を入力すると、物語の真相を解き明かすために必要な"第六感"が発動することも! この"第六感"が発動するかしないかで物語の展開に変化がありました. 発動しなくてもちゃんと物語は成立するんですが、よりしっくりくる結末を迎えるのは発動するバージョンです. ぜひ皆さんも"第六感"に目覚めてみてください. レベルを上げるだけじゃ勝てない!? ゴーストの動きを推理して戦いを有利にする 本作のバトルは"行動予測バトル"と銘打たれ、今までのシリーズのバトルとはまったく違うものになっています. そもそも、戦闘開始時に敵であるゴーストの位置がほぼ見えません. そんな状態で戦いを進めるのは、かなり難易度が高いですよね. そこでバトルのカギを握るのが、戦闘直前に編集部で開かれるブリーフィングです. ブリーフィングではバトルステージの見取り図を見ながら、敵の位置を予測したり、主人公たちが戦いやすいように罠を張ったりできます. 設置できる罠は位置探知や状態異常などいろいろなものがあるので、戦いに合わせたチョイスが必要! 罠をたくさん設置すればバトルは楽になりますが、そのぶんお金もかかるんですよね. そのバランスを取るのが、一番の難問かもしれないです. 出入り口に塩をまいて、ゴーストを部屋に閉じ込めるのも手. バトルステージは民家や公園などいろいろな種類があるので、場所に合う罠を設置しましょう. 罠を設置したら、いよいよゴーストと戦闘. APを消費して、移動や特技といったコマンドを使いながら戦います. 行きたい方向に向きを変えてから移動をしないとAPをムダに消費してしまうなど、移動にクセがあるので慣れるまではちょっと苦戦するかも. あとはプレイヤーたちと同じようにゴーストたちも移動しているので、今いる場所ではなく、移動しそうな場所を選んで攻撃することがポイントですね. 慣れないうちは、複数の仲間でゴーストを囲んで攻撃したり、罠を多めに設置したりしておくと安心ですよ. 赤い人魂のようなアイコンがゴーストで、矢印アイコンが仲間を示します. ゴーストの周囲の青い部分が、ゴーストの移動範囲. この範囲の中でゴーストがどこに向かうかを推理し、移動地点に攻撃できる位置に移動します. 画面中央上にある12分という表示は、残りターン数. この制限時間内に、ターゲットとなるゴーストを倒さなければなりません. ゴーストと移動先が重なってしまうと、相手から一方的に攻撃されてしまいます. 移動がバッティングしない位置から攻撃すること! また仲間たちは、レベルが上がるといろいろな特技を覚えます. 特技によって攻撃範囲が広いものや、体力を回復できるものなど、効果はさまざま! 物語を進めて仲間を増やしたり、レベルを上げたりするだけでもバトルがかなり楽になりますよ. 主人公は個別の特技こそ持っていませんが、代わりに仲間の特技を覚えられます. インターバルとなる"編集部"にいる時に覚えられるので、忘れずに特技を習得しておきましょう. 仲間によって、攻撃のタイプや範囲が違います. 主人公を含めて最大4人まで連れていけるので、いろいろな人を連れていってみるといいかも. ゴーストとのバトルでは、さまざまなトラブルが起こります. その1つが、ゴーストの攻撃による状態異常. 内容は霊らしい"呪い"から、"骨折"といった痛そうなものまでさまざま. アイテムを使うと回復できるので、状態異常回復アイテムを常備しておいたほうが安全ですよ. もう1つのトラブルが、器物破損. ゴーストへの攻撃を空振りすると、まれにフィールドにあるアイテムを壊すことがあります. 事前に物が壊れるという情報は知っていたので気をつけようと思っていたのですが、不器用な私は盛大に壊してしまいました. 窓ガラス、学生鞄、ゲーム機、などなど数えたらきりがないです... . 破損したものは弁償することになってしまうので、皆さんは気をつけてくださいね. 机や砂の城など、いろいろなものが壊れます. さすがに卒業証書を破壊した時は、なんとも言えない罪悪感を覚えました. でも、よく考えればなんで4月の学校に卒業証書が? 制限時間内にターゲットとなるゴーストを倒すと、無事クリアに. クリアすると収支報告書が登場して、成功報酬やさまざまな手当をつけた収入から、使用アイテムや器物損害に対する弁償代、治療費などを引いた金額を入手できます. 収支の結果はランクで評価され、黒字になるほどよい評価に! 主人公たちが行っているゴーストハントは、れっきとしたお仕事. ちゃんと黒字になるように働きましょう. ランクを評価してくれるのは主人公の上司の伏頼. いい結果を出すとかなりうれしそうな反応になります. 主人公や仲間は戦いの活躍に応じて経験値を入手し、それが一定以上になるとレベルアップします. 主人公は、レベルアップすると身体能力のパラメータにポイントを振ることが可能. 全部バトルに貴重なスキルなのですが、私は戦闘のAPを伸ばす"知力"を優先的に伸ばしています. バトルでは何かとAPが必要になるので、個人的には真っ先に伸ばしておきたい能力かなと思いました. またバトルでは他にもアイテムや、訓練などに必要なTPといったバトルに役立つものを手に入れられますよ. 主人公のパラメータは、"特技習得用紙"という形で表現されています. どうやら、武器のタイプは3種類ある模様. 自分のメイン武器に合わせて、ポイントを振りたいですね. 獲得できるTPは、除霊したゴーストの数で変化します. 少しでも多くのゴーストを倒したいところ. アイテムは戦闘の中で獲得する以外に、依頼主が報酬としてくれる場合もあります. 時間を遊んでしまうボードゲームなど、編集部には仕掛けがたくさん 各話のインターバルやメインバトルの前は、編集部で準備ができます. この編集部には、さまざまな仕掛けがあるんですよ. 雑然とした編集部が、とってもリアル(当社比). 付箋部分にカーソルを合わせると、買い物や訓練などができます. 中でもオススメなのが、ボードゲーム"ハイパーナチュラル"! 今井監督自身が作り込んだとおっしゃっていたので期待していたのですが、遊んでみたら想像以上に楽しかったです. 完全オリジナルルールなので慣れるまで少し時間はかかりましたが、これだけで何時間も遊べる中毒性があります. 主人公だけでなく編集部の仲間を誘ってプレイするので、みんなとワイワイ騒ぎながら遊んでいる雰囲気がとってもいいんですよね. このボードゲームの勝者は、なんと通常のバトルと同じように経験値を獲得できます. 遊んでいるだけでレベルが上がるなんて、最高じゃないですか! ちなみにこのボードゲームのキャラクターイラストを、『東京魔人學園』シリーズの小林美智さんが担当しているのもファンとしてはうれしいポイントです. ●ボードゲームのルールを簡単に紹介! ボードゲームは、主人公を含む4人のハンターと、1人のゴースト役に分かれて勝負します. メインターゲットとなるゴーストがいて、それを倒したハンターの勝ち. 全ハンターのライフをゼロにするか、カードを引けない状態にしたらゴーストの勝ちです. 通常のバトルと同じように、ハンターにはゴーストの位置は見えません. ただし、プレイヤーの周囲9マスにゴーストがいる場合、ゴースト役は自分の居場所に隣接したマスのヒントを言う必要があります! たとえば上の画像で出ているようなヒントの場合は、プレイヤーの真下にある森に隣接した左右どちらかにヘルドールがいることを表しています. その位置に移動して攻撃すると、ゴーストにダメージを与えることができますよ. ホワイトボードでは仲間と特訓したり、主人公の履歴書を見てパラメータの確認をしたりできます. 特訓では、一緒にやったキャラクターのCGが登場. このCGにはアニメーション技法"GHOST"が使用されていて、キャラクターがすごく自然に動きます. しかもなんとこのCG、3Dではなく2Dで描写されているんです. まるで絵がそのまま動いているようななめらかさです. "GHOST"はアドベンチャーパートなどにも使用されているのですが、こちらもキャラの表情がクルクル動いて魅力的ですよ. 訓練の相手は、支我などバトルに参加しないメンバーも選択できます. 時には、何かアイテムをくれることも. ホワイトボードで見られる履歴書では、いつでも主人公のパラメータを確認可能. 上司である伏頼のコメントは、プレイヤーの行動によって変わるようです. 他にもセーブ画面がポスター風になっていたり、会社の公式Webサイトに社長である伏頼のスリーサイズが書いてあったり、編集部にはツッコミどころ&お遊び要素が満載です. ぜひ、いろいろと探してみてくださいね! 本作は"學園ジュヴナイル伝奇"ファンの期待を裏切らない&初めて遊ぶ人も楽しめるステキな作品に仕上がっています. ぜひ4月10日に本作をゲットして、ゴーストハントライフをスタートしてください. 今年、原作コミックの連載開始から数えて25周年を迎え、2015年には新劇場版が公開される『攻殻機動隊』. 本作で描かれるSFのテクノロジーを"リアルに実現しよう"という産学共同プロジェクト"攻殻機動隊 REALIZE PROJECT"が、11月12日にスタートした. 11月12日に東京・泉ガーデンギャラリーで行われた"NTTドコモベンチャーズDay"では、"攻殻機動隊 REALIZE PROJECT"に参加する研究者たちが集った. "光学迷彩"、"電脳"、"義体"など、それぞれの研究者が自らの研究領域と『攻殻機動隊』の世界観を比較・分析. 熱いトークを展開しながら、プロジェクト実現の可能性を検証した. 以下に、トークに参加した研究者たちのコメントを掲載する. 冒頭であいさつを行ったNTTドコモベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏. 「この会場で『攻殻』をまだ観たことがない方、本日帰ったらすぐ観ましょう」と述べ、熱烈な『攻殻機動隊』ファンであることをうかがわせた. ●稲見昌彦氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授) 『攻殻機動隊』にヒントを得て光学迷彩を開発しました. 『攻殻機動隊』の漫画や映画は繰り返し観ています. 『攻殻』に恩返しできればという思いから、このイベントに参加しました. あるSF映画監督は、95%のリアルに5%の空想を加えるとよい作品ができると言いました. 我々はその5%をリアルにできるよう、引き続き頑張っていきます. ●藤井直敬氏(理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チーム チームリーダー/ハコスコ代表取締役) テクノロジーの進歩の観点のみでなく、攻殻の世界が実現したら平和な社会は保てるのか? 世界がどう変わるのかかを考えながらテクノロジーに寄り添っていきたい. 『攻殻機動隊』もそうやって読むとおもしろい. ●梶田秀司氏(産業技術総合研究所 知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループ 主任研究員) まだまだ攻殻の世界は現実的ではない、その溝を埋めるために日々のたうち回っています. 応援よろしくお願いいたします. ●遠藤諭氏(角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員) 情報と分析では答えが出ない問題を解決するのは、エンタメの跳躍力だと考えており、今回のREALIZE チャンピオンフットボール』iOS版が本日 PROJECTは正にそれだと思っています.