DS山村美紗サスペンス 舞妓小菊・記者キ

香りを映像化したような映画. こんな表現しかできないくらい、とてつもなく素晴らしい芸術性を感じることのできる作品でした. 動の映画である 『ラン・ローラ・ラン』 と静の映画である『ヘヴン』を、まるで香水を調合するかのように見事に組み合わせたトム・ティクヴァ監督の才能に、この監督にこそオスカーを! と心から願ってしまいました. とにかくオープニングから映像は少しグロいものも多々ありますが、あたかもスクリーンから香りが伝わってくるような編集のうまさに驚いてしまいます. 特にグルヌイユがとある赤髪の女性の香りに取り付かれる様子. 女性独特のあの体臭という名のいい香りを嗅ぐことに幸せを感じたことのある男性なら誰しも共感してしまいそうなシーンでした. そんな彼が「香りを保存」する術を求めて香水調合師に弟子入りし、究極の香水を追い求める姿. そして究極の香水を得るために若い女性を次々と殺めていく姿. 芸術のためなら人命をも重要視しない姿はどことなくハンニバル・レクターにも通ずるところがあるように感じましたね. レクター同様、グルヌイユもまた芸術を極地まで追い求める真の芸術家と言えるでしょう. しかし究極の香水を手に入れた彼が自らの処刑場で目にしたもの. それこそ芸術の根幹であり、芸術に理解のある方なら誰しもが求める極地の果てに見る、身近にありながら忘れがちな「愛」という皮肉. 人の記憶も命もそして香りも、人が死ねば消えてしまう儚さがあるからこそ素晴らしいという【わびさび】の世界なんですよね. 結局、究極の香りは生きている人間にしか放てないものという哀しさがよりグルヌイユを淋しく可哀想な存在に見せていたところが印象的でした. その他にも我を忘れるほどの究極の香水に酔いしれた人々が起こした行動、娘を束縛しすぎた罪悪感に許しを請うアラン・リックマンの言葉. 神父の陳腐な言葉よりも人々の心の奥底にまで届く香水が反キリスト的数字「13」の香りを基に作られているところなど、随所に「奥が深い! 」「芸術的! 」と感心させられることばかり. そしてこの映画が決して自分に振り向いてくれない芸術にとことん恋をした一途なある人殺しの「恋の」物語であることに更なる奥深さを感じました. 『ラン・ローラ・ラン』 から足掛け9年、トム・ティクヴァ監督に注目してきた甲斐があったと嬉しくなるくらい素晴らしい映画でしたよ! 深夜らじお@の映画館 はこれからもトム・ティクヴァ監督を応援し続けます. ストーリー : △ グラフィック : ○ 音楽 : △ 快適さ : △ 満足度 : △ 山村美紗サスペンス 機種 : DS 発売日 : 2008年6月5日 価格 : 3,990円(税込) 発売元 : テクモ サイト : http://www.nintendo.co.jp/ds/software/yyaj/index.html 感想 このソフトは、普段ゲームをしない方でも 簡単にプレイすることができるようになっています. 全体的には 西村京太郎 と 同じような感じですので、 2つの差異を書きたいと思います. 今作は、3人の主人公(3つの物語)から 自由に選択してプレイすることができます. どれもベタベタな展開ですので、 ツッコミながら楽しみました. 移動は完全固定となりました. ある意味、諦めがつきます. 上画面に目的等が表示されるのは便利ですが、 (西村京太郎の)カットパネルシステムの方が 操作しやすかったです. 満足度が△に下がったのは、 (西村京太郎の)推理問題 West Village と 京都スタンプラリークイズの差です. クイズ自体はこんなものかなぁという感じですが、 雑学手帳で画像がある分、 文字だけのクイズは、 少し手抜きに感じてしまいました. プレイメモ プロローグ: 約15分 小菊編: 約2時間15分 キャサリン編: 約2時間35分 石原明子編: 約2時間15分 京都スタンプラリークイズ: 約1時間5分 ※ゴール後、美紗ちゃんリサイタルが追加され、 BGM 21曲が聴けるようになります. 以下、本編の簡易攻略です. 小菊編 ・豆雛は、何者かに殺害された ・豆雛がはな吉に来るのを知っていた ・沢木と状況整理 → 豆雛の近くに、血痕の付いた石 → 津久井、高木、鏡 → 非常に気に入っている → あまり関心がない → 感心が全くない → 少し苦手に思っている → 豆雛と写真を撮っていたから → 庭に扇子が落ちていたから → アガサ珈琲店へ行く ------------------------- ・マスターに聞き込み → 舞妓仲間 → 社報を見せる → 豆雛と鏡の写真を見せる ・鏡に推理 → 豆雛の財布に鏡の写真 → 片思い ・乱れた豆雛の着物 ・豆雛が鏡に片思いをしていたから ------------------------- ・津久井社長 → 落ちていた扇子 → 津久井は寿々乃が一番好き ・沢木と状況整理 → 鏡に片思い → 寿々乃 → 落ちていた扇子 ------------------------- ・手紙解読の推理 → 石原葬儀社秋山 ・事件について再考 → 自分の地を分けた娘に対する愛情 → 津久井の遺書 → 寿々乃を自分の物にしたかった → 津久井を殺した犯人 → 津久井に罪をなすりつける為 ・犯人を推理 → 遺書は偽造されていた → 寿々乃と鏡のアリバイ → 犯人 → 浸水 → 高木(画面中央) → 度が過ぎた豪遊 ------------------------- ・高木 ・高木を問い詰め → 睡眠薬と缶コーヒー → 遺書は偽造 → 脈を計ったのは高木 → 高木に横領の噂 → 豆雛(画面左) → 高木から豆雛へのメール → 豆雛が津久井関係者と大喧嘩 → 殺意を抱いた キャサリン編 ・啓乃進について → 殺害された → 口元からアーモンドの臭い → 啓乃進は食事の予約をしていた ------------------------- ・啓乃進のお茶を飲んだ ・観之介が犯人である可能性を推理 → 期待している → 稽古中は誰も入ってこなかった → 犯行には青酸カリを使用 ・なくなった能面 ・麗子と啓乃進の話 ・麗子が啓乃進の為にした事 ・般若のツノを調べる → 能面の裏を調べる → 借りてきた般若の面 ------------------------- ・麗子に推理 → 般若の面 → 能面の裏に塗られた液体 → 惚れ薬 → ポットに入れられた毒 ・啓乃進が稽古をしている時 ・盛太郎の紹介文を見せる ・原商店へ ・浜口と状況整理 → 道成寺の稽古中 → 能楽堂 → 取材を受けていた → アガサ珈琲店のマスター → 美恵子(画面右) → ずっと受付 ------------------------- ・美恵子は受付から離れていた ・美恵子以外の人物が電話に出た ・千尋の部屋調査 → 恋人 → 青酸カリの量 → 千尋が啓乃進を殺害 → 慧太の父親を憎む千尋 → 観之介が千尋を叱った → 嵯峨野 ・千尋に推理 → 復讐 → 美恵子は受付から離れていた → 鐘入りで鐘の中に入った瞬間 → 慧太(画面左下) ・事件は解決していない → 見つからずに能楽堂へ侵入した → 千尋は能に詳しくない → 教えられた量より多く入れた → 千尋には共犯者がいた ------------------------- ・真犯人を推理 → 鐘入り → 美恵子は受付から離れていた → 盛太郎(画面右上) ・盛太郎を問い詰め → 6月2日の日記 → 青酸カリの量を記したメモ紙 → メモを書いたのは盛太郎 → 紹介文と筆跡が同じ → 殺意を抱いた 石原明子編 ・菜々の部屋調査 → 自殺ではなかった → 誰かが菜々に持たせた ・葬儀社の社長 ・黒沢と状況整理 → 唐沢有樹 → 好意をもっている → 待ち合わせに来なかった → 和馬 → 傷の形状が合わない ------------------------- ・狩矢と調査 → 傷の形状が包丁と合わない → 浴室 → 急いで用意する理由がない → 日記の破れた部分 → 遺書は日記の一部 → 何者かが偽造 → 部屋で一人だった → テーブル上のグラスをタッチする → 石原葬儀社社員のフリ → ドライアイスの交換 → 石原葬儀社社員 → やんわりと退室を促す ------------------------- ・和馬に推理 → 菜々の遺体を調べていた → 殺された可能性があるから → 菜々の遺書 → 遺書は日記の一部 → 傷の形状が合わない → 見つかった菜々のバッグ → 菜々の手には包丁 ・菜々は左利き → 佐斗史 ・昨日、弔問へ来た → 菜々が好きだった → 司 ・司の部屋調査 → 机の上の彫刻をタッチ → 菜々の部屋 → 机の上のをノミと指輪をタッチ ------------------------- ・菜々を殺害した犯人 → 菜々の左手首の傷の形状 ・佐斗史 ・佐斗史に推理 → 菜々を付け回し、監視 → 慌てて出ていく佐斗史 → 弔問へ来た ・犯人が拭き取った ------------------------- ・司の部屋 ・ノミの写真を見せる → 菜々を殺害した犯人 → 現場に落ちていたチャーム → チャームの写真を見せる ・菜々の左手首を切った → 菜々に料理を教えていた → アリバイがある → アガサ珈琲店 ・犯人は二人いた → 沙耶子は菜々を殺していない → 沙耶子の指紋しかない ------------------------- ・沙耶子 ・沙耶子に推理 → 佐斗史の手元にチャーム → 現場から立ち去る沙耶子 → 佐斗史が沙耶子を脅迫 → 菜々殺害事件 → ノミの鑑定結果 → 沙耶子にはアリバイがあった → 恭治 ・恭治に推理 → 菜々と2人でお酒を飲んだ → 菜々の手には包丁 → 大東家のアリバイ1 → 司は酒を摂取できない体質 → 嫉妬. 昨日多くの映画ファンに惜しまれつつ閉館の日を迎えた 三宮シネフェニックス . ロビーから見えるJR三ノ宮駅阪急三宮駅、神戸の山々の緑の美しさ. 3つあるスクリーンにはそれぞれイタリア製の映写機が動いている様子が見れる窓があり、擬似 『ニュー・シネマ・パラダイス』 でトト気分が味わえるなど、決してシネコンでは経験できない楽しみが満載の映画館だっただけに、閉館が凄く惜しいです. でもある女性スタッフさんともお話していたのですが、 『星を追う子ども』 でも語られていたように、消えていくモノは役目を終えたモノ. ですから三宮シネフェニックスも役目を終えて閉館すると思えば、この最後の日に「フェニックスなんで不死鳥のように復活を期待してます」と笑顔で「さよなら」と「ありがとう」と「祝福」を送ることができました. 思えば私がこの三宮シネフェニックスの前身である三宮OSシネフェニックスで最初に見たのはニコラス・ケイジ主演の『スネーク・アイズ』でした. あれから10年以上経ち、2006年にOSが経営から立ち退いて「三宮シネフェニックス」として新スタートを切ってからも、ここで多くの名作を見せてもらいましたよ. ロビーにはそんな2006年からの上映された全ての作品のポスターが、それぞれの上映期間及び観客動員数が事細かに記されて貼られているなど、最後まで映画好きが映画好きのためにこの映画館を運営されてきたことを思わせるイベントが行われていたりなど、本当にたくさんの思い出が詰まった映画館であったことを走馬灯のように思い出させてもらいました. やはり映画ファンとしては「映画は好きです」と言いながら、そんなに映画を見ていないシネコンスタッフさんよりも、いろんな映画の話ができるくらい、たくさんの映画を見ているミニシアターのスタッフさんの方がお話をしていて凄く楽しいんですよね. 映画というのは、映画館に到着した瞬間から味わうもの. チケットを買い、ロビーに流れる静かな映画音楽と静かに会話する人たちの声を聴きながら、開場時間を待つ. 指定席ではなく自由席という好サービスのため、整理番号順に入場し、他のお客さんと席を譲り合いながら上映時間を迎えると、ケータイなど一切鳴らない空間で映画が終わるまでじっくりと映画を楽しむ. そして素晴らしい映画に出会えた時にはスタッフさんに笑顔で「面白かったです」と伝える. これが映画を見る醍醐味であり、昨今のシネコンではほとんど味わえなくなったこと. 三宮シネフェニックスはそれが味わえる大切な映画館でした. ですから改めて三宮シネフェニックスという映画館に「さよなら」と「ありがとう」と「祝福」を送りたいと思います. 長い間、いろんな映画を見せてくれまして、ありがとうございました. そして気さくで笑顔がステキなスタッフのみなさん、お疲れ様でした. 深夜らじお@の映画館 は三宮シネフェニックスのことを生涯忘れません. ※おまけ 三宮シネフェニックスさんの興行ベスト10も発表されてましたので、追記に残しておきます.